今でも魔法が解けない、夫と初めて過ごす誕生日の思い出

そろそろ三十路を迎える会社員、キョウコです。

私が感動したのは現在の夫と過ごす私の初めてのお誕生日のことでした。

付き合ってすぐの、私の17歳の誕生日

私たちは17歳から交際を始めて現在に至ります。その初めての私の誕生日。私は高校生で彼は少し年上の大学生。 当時はそんなにお金も無く、私も寮生ながらも自分で働きながら学費を払って高校に通っていたのでバイトと学業で忙しい毎日でしたが寮に居ない時は彼の家で同棲していたので会えない日々という不満も特にもなく、それなりに順調に交際していました。

私は秋が誕生日なのですが、私が通っていた高校は日本では珍しい2期制の学校で春夏秋冬それぞれにお休みがあり、私の誕生日は秋休み明けの次の日がちょうど誕生日でした。

学校が休みの期間は特別の事情があったり事前に申告していたりしないと寮に居られないので、学費の為のバイトに行かないといけないこともあり、彼と暮らす家に帰っていたのですが、夏休みのときと比べて彼の行動がおかしいのです。

誕生日前なのに、ずっとそっけない態度の彼

夜ご飯を食べた後、「ちょっとコンビに行ってくる。」とか「友達の家に行ってくる。」「バイト先に忘れ物したから取りに行ってくる。」など色々言い訳をして夜な夜な出て行ったり、私が寝た後にこそっと外出したりするようになりました。

秋休みはたったの2週間程度です。その期間にそんなに不審な行動をされると誰でも心配になったり、愛情が冷めたのかな?と疑ったりすると思います。

しかも彼と過ごす初めての誕生日を前に楽しみにしていた私からしたら、全然お誕生日の話もしてくれないし、夜な夜な出て行くし。最初は不安に思っていたのですが、徐々に怒りに変わってきて一度文句を言ったのですが、「ゴメンね、すぐ帰ってくるから。」と優しく言って出て行くので、悲しくなりました。

もう寮に帰ろうかなとも考えたのですが、寮にも皆帰寮しているから寂しいし、と思い1人で寂しく待つ日々でした。今考えたらこんなことで怒ったり悲しんだりするなんて若かったな〜と滑稽に思いますけれども。

いよいよ秋休みも終わり、誕生日前日で明日は寮に帰るという日。今日もまた出て行ってしまって明日も寮まで送ってはくれないのかなとふてくされていました。 夕食の後、また出て行くと思ったら案の定出て行きました。

その瞬間、何だか悲しくなって彼の出て行った家で1人テレビをつけながら泣いてしまったのを覚えています。

何を誕生日ぐらいでと思われるかもしれませんが(笑)

その日彼は23時頃に帰宅しましたが、私は悲しすぎてもうふて寝してやろうと思ったのですが、やっぱりお誕生日だし…という気持ちもあって寮に帰る準備をしながらゴソゴソとまだ起きていました。帰ってきてから彼はお風呂に入り、ゴソゴソ用意している私の隣でテレビを見ていました。

彼の考えた誕生日プレゼントの正体

日付が変わって私の携帯がお誕生日おめでとうメール等でなり始めた頃、彼が電気を消してケーキを持って現れました。

「え?え?」と思いながらもお誕生日おめでとうと書かれたケーキに歳の数のロウソク。

正直戸惑いました。

というのも私はチョコレートと生クリームがこの世で一番大っ嫌いと言うぐらいケーキが大っ嫌いなのです。元々間食もしないしスナック菓子も好んで食べない、食べるとしたらおはぎや和菓子の類か、ピーナッツやアーモンド等のナッツ類ぐらいというようなあまり女子としては可愛くないタイプだったからです。

「お誕生日ケーキというのは嬉しいけど、この後コレ食べなきゃいけないの?」

私がケーキ嫌いなのを知っていて嫌がらせしたいのかな

などと色んな想いが錯綜しました。 しかし雰囲気を壊すのも悪いので「わぁ〜ありがとう〜」と言いながらロウソクを吹き消しました。

そして恐怖の時間です。ケーキの実食。 幸いにもフルーツ盛り盛りの割には私の嫌いなメロンやスイカ、リンゴは入っていない事を確認。無難にオレンジから食べましたが、やっぱり生クリームがどうしてもついてしまっているので覚悟して口に入れました。後に彼はこのときの私は半泣きだったと笑っています。

一口食べた瞬間「あれ?」というのが正直な感想でした。

私の大っ嫌いな生クリームのあの独特の甘ったるさがないのです。全然食べられる味で驚きました。 驚いて彼を見ると、「3ヶ月前からずっと練習して作ったんだ」と。

私はついその場で号泣してしまいました。

彼の裏の努力と思いやりに感動が止まらない

私が生クリームやチョコが嫌いでケーキも嫌いと知っていたけど、ケーキがないと誕生日っぽくないじゃんかという理由で、生クリーム不使用で甘くない、甘すぎず、フルーツ多めのケーキをパティシエをやっている友人に頼みこんで試行錯誤しながら作ってくれたのだとか。

ある程度使う素材やフルーツも決まっていたのに私との日常会話でメロン、スイカ、リンゴが苦手であることを知って急遽そのフルーツを取りやめたり、今度はイチジクやカキ、モモが好きだと会話で出たからそのフルーツを季節ということもあって今度はそっちにシフトチェンジしたりと色々直前までバタバタしていたとのことでした。

そして、「毎晩毎晩出て行って1人にさせてゴメンね。」と。

もう私はその言葉とこれまでの苦労を聞いてこんなに幸せなことはないと、こんなに想われていて幸せ者だなぁ〜と感動して少しの間涙が止まりませんでした。

今でも私の好みに合わせて誕生日を祝ってくれる夫

その後もピスタチオのアイスが特に好きだという私の話からピスタチオのケーキを作ってくれたり、おはぎのケーキでお祝いしてもらうのが夢なの!と冗談で言った私の言葉を真に受けてホールサイズのおはぎのケーキでお祝いしてくれたり、本当に今でも私のために色々考えてくれていい夫です。

今では収入も増えて、素敵なダイヤの指輪を買ってくれたりもしますが、夫と過ごしたこの初めての誕生日が今までで一番嬉しい幸せな思い出深い誕生日でした。

このときの感動を思えば、喧嘩しても気持ちが落ち着くぐらい今でもマジックにかかっています。