すぐき菜はどのように栽培されている?収穫の時期や食べ方も
2023-04-26(公開日:2022-08-18)
「すぐき菜」という野菜をご存知でしょうか。漬物じゃないの?と思われた方が多いかもしれません。
その通り、京の三大漬物で知られる「すぐき漬け」に使われる野菜です。栽培方法や収穫時期、食べ方を詳しく解説します。
すぐき菜とは
すぐき菜は、京都伝統野菜のひとつ。別名「すぐきかぶ」とも呼ばれ、古くから京都市北区上賀茂地区で作られてきたかぶの一種です。約400年前の桃山時代に上賀茂神社の社家が栽培を始め、屋敷の敷地内だけで作られていました。
江戸時代末期頃からは、やっと周辺の農家でも栽培されるようになりましたが、『就御書口上書』によって一本たりとも他所に持ち出すことが禁じられ、栽培技術はもとより、種一粒も外に出ることがなかった野菜です。
そんなすぐき菜で作られるのが、今や京の三大漬物のひとつとして知られる「すぐき漬け」。江戸時代初期の頃から上賀茂の特産漬物として、御所をはじめとした上層階級の人々への高級贈答品として重宝されてきたお漬物です。
すぐき菜の特徴
見た目
すぐき菜の見た目は、上下の真ん中が太く、両端に向かって細くなる紡錘形(ぼうすいけい)が基本です。ただし、栽培者によって先が細く尖ったものや、太くて丸みのあるものなどさまざま存在します。
茎が長くて葉は平たい形をしており、切り込みが入っているものも。カブの葉とよく似ています。
味わい
すぐき菜の果肉はやわらかく、ほのかな香りがあります。すぐき漬けにしたときに、独特の酸味があることから、漢字では「酸茎菜」と書いて表します。
おいしいすぐき菜の選び方
果実がふっくらとしていて、皮に艶があるものを選びます。傷があるものは避けましょう。葉も食べられるので、みずみずしくハリがあり、根元がしっかりとしているものがおすすめです。
すぐき菜の栽培
かつて門外不出といわれたすぐき菜の栽培。現在も、京都市北区上賀茂地区を中心に栽培が行われています。
すぐき菜の栽培方法
すぐき菜は、地植えで栽培します。戸外の日光がよく当たる場所を選びましょう。葉が大きく伸びる(60〜80cm)ので高さも必要です。寒さに触れると風味が良くなるため、夏の終わり~秋にかけて種をまきます。収穫までの間に2~3回霜に当たるのが理想です。
葉が15cmほど伸びてきたところで、間引きを行います。この作業によって、すぐき菜のできがぐんと良くなります。間引いた葉は、油揚げと一緒に煮たり、味噌汁の具材にしたり、炒め物にするなどさまざま使えます。
- 種まき……8月下旬〜9月初旬
- 収穫……11月下旬ごろ〜12月初旬
- 水やり……土の表面が乾けば与える
- 肥料……種まき前に土へ施しておく
- 間引き……すぐき菜の良し悪しを左右する重要な作業で、10月ごろ秋に行う
すぐき菜の食べ方
塩だけで漬け込む「すぐき漬け」のほか、果肉は味噌汁の具材にしたり、煮物にしたりするなど、大根やかぶと同じようにいろいろな食べ方で楽しめます。
葉は塩・こしょうで炒めるだけでもおいしいですし、おひたしやナムルにするのもおすすめです。刻んでごま油で炒め、ふりかけにしたり、高菜のようにチャーハンの具材にしたりするのもおいしいですよ。
塩だけで漬け込むすぐき漬けですが、室の中に存在する天然の乳酸菌によって発酵させて作るため、同等のものを家庭で作るのはむずかしいでしょう。
すぐき菜をもっと知ろう
一部の地域でしか栽培されていないことから、馴染みの少ない方が多いであろう、すぐき菜。
果肉はもちろん、長く伸びる茎や葉も食べられるので、とても重宝する野菜です。家庭菜園をされている方は、栽培に挑戦してみるのはいかがでしょうか。特にほんのりと香りのある果肉は、ほかにはない味わいで、きっととりこになるはず。すぐき菜の魅力をもっと知って、新しい「おいしい」に出逢いましょう。
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